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外壁の汚れを放置すると劣化が早まる

  • 山口 学
  • 2017年10月11日
  • 読了時間: 7分

そもそも外壁の掃除はなぜ必要なのでしょうか?そこには「見た目を綺麗に保つ」ということ以外にも実は大切な理由があります。それは外壁の汚れを放置しておくと「建物の劣化を早めてしまう」ということです。

外壁の汚れが建物の劣化を早めてしまうのかをお伝えいたします。

外壁はなぜ汚れるのか?その原因と正体

建物の外壁は日々外気と接しています。このことからも、外壁が汚れやすい場所であることがおわかりいただけると思います。それでは外壁の汚れにはどんな汚れがあって、なぜ汚れるのでしょうか?その原因と汚れの正体をお教えします。

■外壁の汚れの70%は都市型汚れ

外壁の汚れ

INAX社の研究によると、外壁の汚れの70%は都市型汚れと呼ばれる汚れであることがわかりました。都市型汚れとは、窓ガラスの固定などに使用されるシーリング材から溶け出した油が雨水などで拡散されて、外壁に付いてしまい、さらにその上に塵や埃、カーボン(炭素)が付いて発生する汚れのことです。この都市型汚れは油性の汚れなので、雨などでは簡単に流れ落ちない汚れです。特に窓や排気口などの開口部の周りの黒ずんだ汚れは、この都市型汚れである可能性が高いです。

■気になる雨だれ汚れの正体

雨だれ汚れ

技術の進化により外壁材、外壁用塗料は昔と比べると随分耐久性が上がりました。近年の外壁材には水を弾く疎水性を持ったものも増えてきました。疎水性という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、撥水性という疎水性に似た意味を持つ言葉があります。車の窓やボディの撥水材が有名なのでイメージが湧きやすいかもしれません。この疎水性は水を弾くので汚れも一緒に弾いてくれそうに思えます。しかし、それでも汚れは付いてしまいます。なぜ、疎水性の壁なのに汚れが付いてしまうのでしょうか?

その理由のひとつは、疎水性の汚れは同じ疎水性の物質に吸着しようとする性質があるからです。例えば、疎水性を持つ物質のわかりやすい例で油があります。油は疎水性を持ちますので、油を塗った部分はコーティングされて水を弾きます。しかし、逆に同じ油とは良く馴染みます。つまり、疎水性を持つということは、雨水に付着する汚れや大気中の油分汚れを吸着しやすい状態になっているともいえるのです。

ちなみに近年では疎水性と反対の親水性の機能を持つ塗料やサイディングボードが登場しています。壁の表面に親水性を持たせる、つまり水の膜を作らせることで、水が壁と汚れである油分との間に入り、汚れを浮かせて落ちやすくするという技術です。

■苔・藻・カビによる汚れ

その他の汚れとしては、苔や藻やカビといった胞子によるものがあります。苔や藻やカビは養分のある外壁に胞子がついて繁殖していきます。日当たりが悪く、湿気の起きやすい北側の外壁には苔やカビができやすくなります。

■塗料の寿命が切れると汚れやすくなる

外壁に塗る塗料は建物の保護の役割を担っています。塗膜(とまく)と呼ばれる塗料の膜が壁を防護壁のように雨水や汚れから守ってくれているのです。近年登場している高機能な塗料は15年以上も耐久性を誇るものもあります。しかし、塗料の寿命はその種類や施工品質でも変わってきます。短いケースだと、3年程で塗料の性能が切れてしまうものもあります。外壁が汚れやすい場合は、塗料の防水・防汚機能が切れてしまい、汚れがつきやすくなっている可能性もあります。このケースかどうかの見分け方は後の章でお伝えします。

このような理由から外壁には様々な汚れがついてしまうのです。

外壁を掃除しないとどうなる?

それでは、そのような外壁の汚れを放っておくとどうなるのでしょうか?

外壁が汚れた状態で長い期間放置してしまうと、汚れが固まってしまって掃除をしても落としにくくなります。掃除の時にそれだけ手間も時間もかかってしまうことになります。

何より気をつけなければならないのは、汚れは外壁の劣化を早めてしまうということです。劣化が進行してひび割れや塗装の剥がれが発生すると、雨水が外壁内部へ染みこんできます。特に木材の場合は水に弱いため、カビの発生や腐食してしまう恐れがあります。気づいた時には劣化が建物内部にまで進行していた・・・。なんてことになると、補修費用もかさみます。そうならないためにも、日頃からメンテナンスの意識を持つことが大切です。

2.ブラシでできる?外壁の掃除で知っておきたいポイント

外壁をスポンジで掃除

この章では、外壁の掃除を自分で行うときに知っておきたいポイントや裏ワザをお伝えいたします。

外壁を掃除するタイミングと頻度

外壁を掃除するタイミングってわかりにくいですよね。サイディングやモルタルなどの外壁素材の場合、基本的には水洗いになりますが、そのタイミングは汚れが目立った時に始めて、それからは年に1〜2回程度点検がてら行えば良いでしょう。

外壁の掃除で注意する点

外壁の掃除はやろうと思えば自分でもできるものですが、安全に行うには注意しなければならない事がいくつかあります。

■ブラシは柔らかいものを使用

外壁の素材に使われるサイディングなどによっては、ブラシで強く擦ってしまうと塗膜が剥がれてしまう恐れがあります。ですので、洗車用などの柔らかいブラシかモップを使用してください。また、クレンザーなどの研磨剤入りの洗剤も外壁を傷つけてしまう可能性があるので使用しないでください。

■洗剤を使う時はゴム手袋を着用する

中性洗剤やカビ取り用の洗剤は肌に触れると刺激を受けて手荒れなどを起こす可能性があります。ゴム手袋などを着用して作業を行ないましょう。

■室内への水漏れ

外壁の掃除では壁に水をかけて汚れを落とすことが基本ですが、水をかける時は開口部などから水が室内に入らないように注意しましょう。特にサッシの隙間や換気口、キッチンの換気扇付近を作業する場合は、事前に養生を施すなどして、気をつけて行ってください。

■近隣の家への水の飛散

ホースで水を撒く場合は、近隣へ水が飛散る可能性があります。掃除前に、窓を閉めてもらうように一声掛けておくとトラブルにならないで済みます。

■高所作業での転落

2階などの高所を掃除する時にハシゴや脚立を使って掃除をする事もあると思います。こういった作業は転落にくれぐれも注意して行なってください。届かないところは無理に掃除しようとせずに安全第一で行いましょう。可能であれば事故防止の為にも作業は2人以上で行なってください。

■晴天の風が無い日に行なう

外壁の掃除後は自然乾燥を行ないますので、ホコリや塵が舞って付着しないように、風があまり無く晴れた日に行ないましょう。

家にあるものでできる外壁掃除の裏ワザ

外壁の掃除は基本的には一般的に家にあるものでできます。

外壁掃除用具

■ブラシ・モップは洗車用などの柔らかいもの

外壁の掃除で使うブラシやモップは柔らかいものを使用します。洗車用のブラシやスポンジを利用することができます。

■外壁掃除の方法

晴れた日

外壁の掃除に最適な日は晴天で風があまり無い日に行ないましょう。

①水洗いで塵や埃などの汚れをおおまかに落とす

水まき

ホースで壁に水をかけてホコリなどの汚れをある程度洗い流します。汚れは下に流れるため、上の階から下へとゆっくり洗い流していきましょう。

②水洗いで落ちない汚れを中性洗剤で落とす

外壁の汚れは水をかけただけでもかなり落ちる部分もあるかと思いますが、しつこい汚れには中性洗剤をぬるま湯で10倍~20倍程に薄めたものを使用しましょう。洗剤が残ってしまうと劣化の原因になりますので、しっかり洗い流すようにしてください。

③目地・コーキング部分は雑巾で優しく拭きとる

目地・コーキング部分に水を直接当てると、シーリングがひび割れを起こし、水の浸入を起こす原因となりますので、ブラシで擦ったりせずに雑巾で優しく汚れを拭き取りましょう。

④自然乾燥

あとは自然に乾くのを待ちましょう。

⑤日頃のメンテナンス

年に1~2回はホースで水洗いするなどして汚れを落としましょう。

■汚れの範囲が広いなら高圧洗浄機という選択肢も

高圧洗浄機

ケルヒャーの高圧洗浄機

 
 
 

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